夜明けを待ちながら

自宅待機中

夜明けを待ちながら絶望と希望と切望

コンビニのレジが電子音声で

「ポイントカードをお持ちの方は」

という。

 

職場の人と雑談していたらお住まいが

「戸塚区」

だという。

 

チェロで弾くパッヘルベルのカノンが聞きたい。

 

風が吹いて、なびくジャケット。

 

ロールケーキ。

 

グローブ座に初めて観に行った、大学生だったあの頃。

生まれて初めて訪れた名古屋は、東京のチケットがなかなか取れなくて遠征した冬だった。

終演後、夜行バスの前に味噌煮込みうどんと手羽先を掻き込んだ。

いつか知り合いのスタッフさんにとってもらった公演は、ふたつ隣のお席にあの相方さんが座っていてソワソワしたっけ。クリスマス頃の、年の瀬だった。

KAATのいちばん後ろからでも爆笑した公演、蓄光テープが星座のように光っていた。

どうしても東京公演の日程と自分の本番が重なった時は、仕事でも良く行く大阪の劇場に、初めてお客様として、トンボ帰りで観に行った。

もう大人だったけど、終演後だと最終の新幹線に間に合わなくて、深夜バスを待つ間に串揚げ屋で大阪を味わっていた。

4年前泣きながら観たあの公演を、今年は仕事の合間の束の間の休みに遠征して、やっぱり今年も涙を流した。

次にこの作品に会えるのは、4年後かなと、勝手に思い込んでいた。

そんな補償なんてなかったのにね。

あの初めて降り立つ街で、劇場を出た後、ものすごくほっこりした気分で、泣きながら幸せをかみしめて、ホテルに帰った。

あのホテルの窓から見えた美しい富士山を

私に贈ってくれたのは紛れもなくあなたでした。

 

そらで掛け合えるくらいに、

寝る時に公式YouTubeをBGMにしていたりしてる。

 

まさに今年の9月、仕事が辛いときに、

あの楽屋でスタッフと談笑しながら

「この人がいるから生きていられる」と

話していたのに。

 

あなたにしか創り出せない夢の時間を

本当にありがとう。

もうあなたの

七色の声や

パントマイムや

作り笑顔や

時に出るマジな笑いや

3日間でのコントづくりに悩まされる姿や、

指先、膝につま先、お尻や背中、喉仏wまで神経をはりつめたパフォーマンスや、

モノトーンの中に広がる

無限の世界に

会えなくなるのは

涙も出ないほどの絶望にすら思えますが

 

大好きな表現者であるあなたなので

あなたが沢山悩んで決めたことなので

心からお疲れ様をお伝えしたいです。

 

そして

これからも創作は続けてくださるということ、

感謝しかありません。

第2章の始まりに、ワクワクする。

パフォーマーであるというひとつの枷を外したら

あなたは一体どこまで飛躍するのでしょう。

未来には希望しか見えません。

 

そして、

裏方を続けてくださるということは

この業界の片隅で

裏方をやっている私も

いつかご一緒できる日がくるのでしょうか。

本多劇場でいつか友人のスタッフさんにお願いしたチケット、

楽屋で友人を待つ間、あなたの気配を感じている時間は

まぎれもないただのファンでした。

いつか、

あなたの素晴らしい才能を

皆様にお届けするお手伝いが出来たのなら

私の人生は

なんという余りある幸福なものになってしまいましょう。

そんないつかを切望した、

2020年12月1日でした。