夜明けを待ちながら

自宅待機中

夜明けを待ちながら自宅待機中

夜明けが来たら、飲みに行こうねとお友達に言った。

大好きな自宅で大好きなお布団にくるまれて、

春の暖かい日差しにまどろみながら

お昼までだらだらしているのは最高に幸せ。

だけど、

誰かに会いたい。

 

まだ真冬のような寒さの頃に、

だけど劇場には確実にその足音が響いていたころに、

親しい友人と二人で、夕陽を眺めながらケーキを食べたね。

その時彼女は、

「もし自分がもっと若くて、精一杯生きていて、まっすぐだったら、

 今の状況に耐えられなかったと思う。

 だけど今は、いつか状況が変わるって分かるほど大人になったから

 なんとか生きていけるんだ」

って言った。

その通りだと思った。

 

3.11のことを思いだしていた。

あの時も劇場は閉鎖されて、

今より寒い春に震えて、

長い夜が明けるのを、待っていた。

 

暗くて長い夜を耐えられたら、

いつか、夜が明けるのを知っている。

だけど、悲しくて悔しくてやるせなくて憤る。

夜明けを待ちながら、

窓の外の桜が揺れるのを、今夜も見つめている。