夜明けを待ちながら

自宅待機中

54年目の千穐楽

ありがとうございました。

お疲れ様でございました。

本当に、ありがとうございました。

 

カーテンコール、

初日からあった「声援ありがとうございました」の横長パネルが下りてくるとき、

電飾かざりもあって、

さらに金雪まで。

 

V列の上手側、でもとっても全体が見やすくて

照明がきらきらして、人物の輪郭がくっきり浮かび上がるのが美しかった。

 

「お御堂がござらん?」みたいな

ちょっとした台詞はカットされていた

「どなたか神父様をおやりになる方、、、」みたいなところが、サンチョになっていた

白鸚さんをサンチョが、

牢名主をフェルミナが、

いつもそっと支えてくれていた。

 

カーテンコールで、

みんなを紹介してくれるサンチョ。

自分を忘れて旦那様を紹介しようとして、

白鸚さんが「サンチョ!」と声をかけてくれる。

白鸚さんの最後のご挨拶、

きっとずうっと考えてちゃんと練っていらしたんだろう、

なのに本番で、出てこなかった。

それを、肉親だからといって隣の松たか子が出しゃばりもせず、

邪魔しないで最後まで白鸚さん一人の挨拶にさせたのが、

成熟した大人の女性の、プロの女優の、高麗屋のお嬢さんの、松たか子だった。

 

みんなで見果てぬ夢を歌って終わりましょう。

 

きっと白鸚さんのImpossible dreamを聞きたかったファンもいただろう、

だけど、

これほどの正解はないと思った。

だって今回の作品は

座組のみんなが「ラ・マンチャの男」を支えていたから。

 

床が八百屋じゃなくて

階段がスロープになって

城主にひざまずく時には影椅子が出てきて

曲はBPMが下がっていて

白鸚さんと上條さんに関わる、無くてもいい小ネタな台詞はカットされていて

配役を任命するシーンはサンチョになって、

少しでも袖で休めるように工夫されていて

宿屋の扉にもたれかかることもしんどくなって

初めて、休憩が挟まった。

 

それでも。

 

本当に本当に本当に

あの美しい、人生の真実が詰まった宝箱のような舞台に

54年、立ち続けてくださって

本当に本当に本当に、

ありがとうございます。