夜明けを待ちながら

自宅待機中

夜明けを待ちながら、この夜を思う

ハンズフリースマホ通話中に、

「未来だなあ」と感じる。

 

かつて黒電話の受話器を肩に挟んで、

コードくるくるしながら長電話をしていた頃。

ドラえもんの未来では、

頭の中で直接通話したり、目の前に浮かぶ画面とお話したりしているのだろう、

と遠く遠く夢想していた。

思えば遠くへ来たものだ。

 

最近、

フェミニズム小説を読んでいる。

あのオシャレな雑誌PENが、

誌面タイトルをレインボーカラーで

表紙にりゅうちぇるを使って

LGBTQとジェンダーについての特集を組んでいた。

思わず即買いして、大切に読んだ。

わたしはりゅうちぇるというアイコンが好きだ。

新しい時代の日本を象徴していると思う。

ぺこぱという漫才コンビのことも、最近知った。

彼らも好きだ。

私は俳優をしている藤井隆さんが好きなのだが、

彼が90年代、「オカマキャラ(あえて、この表記を使おう)」で売り出していたことを最近思い出す。

そして、本当に忘れていたけれど彼はもともとお笑い芸人で

オカマというキャラクターを被って芸をしていたのだということを

本当に最近思いだした。

トランスヴェスタイト姿ではない、

藤井隆という男性が、オカマキャラでお茶の間を沸かせた、

その10年後くらいに

IKKOさんたち「オネエタレント」が大ブームになって、

芸人たちにいじられていた。

そして令和。

カワイイ恰好のりゅうちぇる

カワイイぺこちゃんと結婚して、パパになる。

時代が、

着実に、

前進していることがわかる。

はるな愛ちゃんはもうオネエの、ニューハーフではなくて

元男性の女性になった。

藤井隆さんは、俳優という肩書が似合う、演技力と人間力が魅力のタレントさんになった。

 

そして、

大坂なおみさんが

黒人女性の一人として、

日本人には対岸の火事に見える、

BLM運動のことを私たちに身近に感じさせてくれている。

 

8月の暑さが思い出させる原爆の日の頃に

「黒い雨」原告側の勝訴に対して

国が控訴するという悲しいニュースを見る。

原告側はもう高齢で、亡くなった方も少なくないのに

これからも、この争いは続くという。

私の祖父は戦地に行っていた。

いまの学生さんたちの祖父母は、戦後生まれも大半なのだろう。

平和を生きる上で

忘れてほしくない記憶がある。

 

セクシャルマイノリティをとりまく環境は

まだまだ茨の道だけれど

ほんの少し、

少しずつ

遅すぎるかもしれないけれど前進している。

 

そして、

もう少し遠くに目を向けると

まだまだ生きづらい人々がいて

私はその生きづらさに加担していないだろうか、って

不安になる。

 

いままで、目の前の仕事に追い立てられて

世の中を見ている暇がなかったのだけれど

ふと、

世界が広いのだと思い出して

良くも

悪くも

世界が広いのだと思い出して

だれしもが

自分らしく生きられる世の中になってほしいなあと

これから来る未来のことを、祈る、夏。